先週は人間構成と題して、カナダの教育事情についてお話ししましたが、この先のブログへの繋がりとしても、今週はカナダでの求職プロセスなどについてお話ししたいと思います。今週のお話内容については一般的には世界共通なのではないかと思いますが、情報的知識としてお届けしたいと思います。

1)カナダの就職活動事情

就職活動は日本でもそうだと思いますが、基本的には自己責任で進められます。もちろんそのプロセスとしては、サポートなども存在しますが、こちらでの大学生の就職活動は4年生の秋(北米は9月から6月が一年なので)から始まるのが一般的です。また、特殊な職務である投資銀行や政治の世界での就活は2年生終了時の夏のインターンシップを兼ねて就活が行われていますので、彼らの就活は2年生の時から始まっています。そして、インターンの成績によって、3年生の夏に呼び戻してもらえるかが決まり、そのまま上手くいけば、卒業後の就職にたどり着ける仕組みになっています。と言っても、私もこの様な特殊な雇用経験はないので、聞いた話をそのままお伝えしています。

通常の就活プロセスとしては、3年生が終わるまでに担当教授(通常、自分の学部の教授が高校の担任の様に相談役として割り振られます)との面談を行い、卒業に対しての必要な単位の確認や卒業後の意思について話し合います。もちろん担当教授は入学直後に割り振られるので、就活までにも幾度となく会う事になります。担当教授との継続的な話し合いのもと、自ら各候補企業についてリサーチをしたり、就職斡旋部で各企業に働くOBやOGの存在やネットワークについて調べたり、各企業と大学の関わり履歴やコンタクト情報を調査したりします。ただ最近はネットでの情報検索が可能になり、企業についての調査は益々個々の活動になっている様です。しかし、生徒が一方的に企業へアプローチをするだけでなく、企業からのキャンパス訪問も多くあり、ネットワークの構築が可能になります。将来、企業に応募する際には、これも大事なツールの一つになると同時に、企業のキャンパス訪問には各大学に割り振れられた人事部担当者が来るので、個人的なネットワークの構築なども可能になる為、貴重な機会になっています。余談ですが、このような企業訪問回数も大学によって異なるので、大学選びの際には、このような企業訪問回数なども選択項目の一つになっています。また、日本人の場合には、全北米で行われている邦人企業訪問イベントなどに参加したりする事もありますが、全米で行われる為、参加するための渡航費が高いのがネックになったのを覚えています。

2)エントリー、面接、及びオファー

この次のプロセスである応募についても、この頃はネットで統一化されている企業も多く、履歴書を郵送する事も殆ど無くなりましたが、ネットワークは今も重要視されているそうです。ただ日本と違うところは、面接への招待は応募者全員に来る事はなく、面接をするかの是非の時点で人選が始まっており、将来的な有望候補者のみが面接に選ばれる仕組みになっています。よって、日本の様に入り口は広くと言う事はない為、各就活中の学生が送付する履歴書の数も面接一件の為に膨大になります。

面接のプロセスでも昔は企業へ出向く形が多かったですが、この頃の面接は、最初は電話で行われる事が多い様です。そして、このステージを抜けると、企業に出向いての個人面談になります。

最終的なオファーでは、新卒の場合には待遇条件の目安というのはありますが、最終的な給料の金額や条件の詳細については、個人の交渉次第になります。大企業の方が融通は効く様ですが、小企業やスタートアップでは、資金の制限からも大きな差はつけていない様です。最も雇用人数も少なくなる為、比較対象が少ないのも現状です。また、新卒社員ではあまり起こりませんが、スタートアップの場合には、高額給料を支払う代わりに、会社のストップオプションなどを与えるところも多く、企業成功の暁での報酬を分け合う形をとっているところも多くあります。私の級友でも転職先や当初の雇用主がスタートアップで、企業の成功が叶い、現在は富を確保し、50歳でリタイヤ宣言した者もいるくらいです。

3)まとめ

カナダの労働基準法では、一年目は有給が与えられません。その代わり、年末にある一定日数分の支払われるべき有給分を貯蓄(若しくは給料に上乗せ)する事になっています。そして2年目から有給休暇をもらえる事になり、年末の調整はなくなります。また、これまでも他のブログでもお話ししましたが、バンクーバーの給料レベルは国内平均でも少なく設定されています。被雇用者全体の給料中央値が約$65,000(から$67,000ほど)になりますので、全体的に見てもかなり低い数字になってしまいます。その上、現在の高額家賃や持家の相場からすると、アメリカンドリームに値する様な「カナディアンドリーム」は難しくなっているのが現状です。しかし、バンクーバーにはそれ以上の生活環境上の利点が備わっていると評価されており、継続した人材の流入が存在しています。