今回のブログでは前回の内容を更に深く解き明かしたいと思います。トピックは弊社の投資手法についてです。これは今までのブログでも触れた点ですが、今回のものでは更に深く、そして現在の経済状況についても触れながら、今後10年間のアメリカを中心とする投資手法についてお話ししたいと思います。

まずは弊社の投資手法は次になります:
賃貸運営
○賃貸からの収益のみで運営。賃料上昇と所有期間からの資産価値向上
修繕を主とする改善(期間:1年前後)
○建築申請を伴わない修繕ベースの資産価値上昇
建築申請を提出しての改築(期間2年から4年ほど)
○改築:増築・構造変更などを含まない資産価値上昇
○重度の改築:躯体だけを残して全てやり直す改築
開発・再開発

各項目は自明だと思いますが、各プロジェクトはリスクレベル(難易度と所要時間)が上がるにつれて「#1ー#4」へ移動し、投資リターンも上がる仕組みです。

1)賃貸運営

賃貸運営というのは管理会社に運営を任せて賃料徴収する方法です。カナダではバンクーバーに投資を集中させていた為に自社管理を行って来ましたが、米市場では複数の市場や州にて投資を行っていくため、弊社従業員の効率を最大限可能にする為にも、物件管理は外注する方向で進めています。また、物件管理会社の最大の収入源は賃貸更新からくるコミッションになりますが、弊社の場合には全賃貸活動を外注している為、社内で物件管理を行うメリットがそれ程までにないのが現状です。同時に賃貸収入からの資産構築は時間が要します。

2)修繕を主とする改善(期間:1年前後)

修繕をベースとした物件価値の向上はリスクレベルと期間から検討しても手堅い手法だと思います。通常の修繕は数ヶ月で終了し、プロジェクト自体も約一年で完了する見込みです。この場合には建築申請をしないという事で、修繕範囲内の作業のみが可能になりますので、現状維持が基本的なスタンスになります。しかし、設備などを更新する事で、ユーザーの作業効率や環境面で向上した環境を提供することが可能になり、募集賃料も幾分上昇させることが可能になります。このケースでは価値上昇も数パーセントが妥当だと思います。そして現シアトルやバンクーバー市場の様に需要による年率賃料成長が存在する場合には、その率が足され10%ほどの上昇が可能になるかもしれません。

3)建築申請を提出しての改築(期間2年から4年ほど)

建築申請を提出するという事は建築家も参加する事になり、プロジェクトの複雑さも増しますが、最終的なバリュークリエーションが可能になり、利益も大きく出せる様になります。例えば、前者の修繕ベースが一桁リターンであれば、建築申請を提出する事で、用途変更をしなくても、二桁の年率プロジェクトリターンを算出することが可能になります。弊社のプロジェクトを例に取れば、最初の704 Alexander Streetプロジェクトがここに入ります。この改築範囲内では、屋根の張り替え、窓の拡張(およびそれに伴う補強)、外壁の更新(パネルの貼り付けや日除けの設置)などを行いました。それに伴い、洗面所の更新や上下水道用パイプの更新なども考慮する点です。その上、弊社の取り扱う物件は築年物が多い為、耐震性や身障者対応設備などの設置も義務付けられる為、トータルメークオーバーになる場合が殆どです。

このレベルの改築では先ず最終的ユーザー候補絞りを行う事が必須になります。利用者が明確になっていないと、各ニーズも曖昧になってしまい、お金を掛けた無駄なプロジェクトになりかねません。そして、最終的利用者ニーズが明確になる事で、賃貸努力も短縮化が可能になり、プロジェクト完了までの最短化から利益率の向上へ繋がります。

更に複雑な改築としては、躯体だけを残した改築というシナリオもあります。最近購入検討していた物件は1980年代に建設された木造と軽量コンクリートブロック建築でしたが、管理が疎かだった為に老朽化が進み、現時点では建て直しが必要な状況でした。建て直し物件としては、魅力的なプロジェクトだったのですが、土地が小さく自走式地下駐車場を取り付けるだけのスペースが不足していました。行政に掛け合う事も可能でしたが、現状の政策と近隣的需要からは少数台分でも駐車場の設置は必須でした。

よって、改築では既得権条項の執行が可能になり、現状の台数で収める事が可能になります。よって、改築ではこの様な更新された建築基準法を間逃れることも可能になり、ケースバイケースですが、高額の工費節約になります。例えば、上記ケースを再開発した場合には、地下3階か4階まで掘削する必要があり、駐車場用エレベーターの設置が必要でした。また、地質上そこまで掘れるかも大きな懸念事項でした。それに、海辺だった為に海水の浸透懸念があり、これも大きな懸念工費でした。この様な特別なプロジェクトの場合には、躯体のみを残した改築工事も検討しますが、準備期間や事前調査が長くなる事も多いので、プロジェクトを選ぶ事が必須になります。

4)開発・再開発

その上で、再開発が投資手法として残っています。これは既存物件を取り壊し、新しい物件を建築する事です。もしくは、更地を開発用地として準備して建設を施します。弊社としても、今後は再開発や開発にも取り組んでいこうと思っていますが、経験値、市場ニーズの理解や資金繰りなどの面からも、各市場を熟知してから参入するセグメントだと思っています。しかし、枡田の過去には物流倉庫も含まれている為、数年内には吟味した市場における物流倉庫の開発も行って行きたいと考えています。それこそ今までのネットワークをフルに活用した物流倉庫フレックスインダストリアル物件を手がけて行きたいと思っています。

開発は数字的にも高いリスクは存在しますが、改築に伴うリスクとは異なり開発の方が改築における「見えないリスク」(例.アスベストを含む建材使用の可能性)を取り除けるので、ある意味リスクは少なく高リターンが得られるシナリオです。

このような手法にて物件価値を上昇させた末には、弊社の運営ファンドに移し、投資家リスクに沿った新たな商品を提供していく試みです。

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