企業の中には子会社の設立や海外企業の買収によって海外進出する場合もあると思います。国や地域によって法律が異なりますが、このコラムでは私たちが本社を置くカナダ(ブリティッシュコロンビア州、以後BC州)の投資ストラクチャーの特徴を見てみたいと思います。

法人設立時にかかる時間と費用はあまり掛からない

弁護士などを使って簡単に登録出来るのはメリットと言えます。BC州の場合には、2021年現在で通常2~3日での設立が可能で、書類のみであれば同日中に完成し、残りの日数は行政の方で承認するために必要とされています。費用は約$2,000(18万円ほど)になります。もちろん、この価格は弁護士費用も含まれるので、どの様な弁護士を雇うかで費用も変化してきます。

そして、SPC(特別目的会社)などを含め全ての企業は、毎年確定申告と企業報告書を国税局と州企業登録庁(BC Registry)に提出する必要があります。登録庁への登録更新費は一年$350ほどです。

法人の設立要件と法人税に対する優遇処置

連邦法に則って法人設立する場合には、取締役の25%以上(3人以下の場合は少なくとも1人)がカナダ居住者である必要があります。現地に居住できる執行役員レベルの社員を確保することは容易ではありません。

また、法人税の軽減はあくまでカナダの州または準州でその年に得られた課税所得に対してのみ適用されるので、外国企業である親会社から注入された資金に対しては適用外となり、現地企業同様の税的優遇を受けることができません。ただし、カナダ国内で自社収入などが発生すればこの規制は取り除かれます。

カナダ自体、スタートアップビザ(起業ビザ)を使った移民制度があったりと、外国人や外国企業の営業活動に非常に積極的な印象を受けます。そして、カナダの税率は魅力ある数字だと思いますが、全ての法人に適用されるわけではないので、外国会社の子会社を設立する場合には、それが優遇税率が適用される法人かどうかも専門家へ事前に確認するべきポイントの1つです。