今回からまた不動産に話を戻して行きたいと思います。今回は住宅改築(リノベーション)プロジェクトについてお話ししてみたいと思います。以前このトピックについては、インダストリアル物件を用いてすでにお話ししているので、今回はバンクーバーの住宅に於けるプロジェクトからのキャピタルゲインについてお話ししたいと思います。
インダストリアル同様、改築により1)市場性の向上による売却価格の上昇、2)賃貸収益の向上による資産価値の上昇(更なる融資獲得)、3)設備更新などによる建物の継続的利用が可能になります。
一般的な改築の必要条件と環境について
一軒家の大きさからリノベーションで高額の利益を得るのは困難ですが、1)物件が空家であること、2)建築家による図面と建築申請が必要になること、3)ゼネコンが工事を纏めることです。予算の30〜40%は修理代に滞ってしまう為、この部分は価値の上昇には繋がりません。また、物件の現状が酷ければ、改築を行う前に修繕を施す必要があります。
住宅リノベーションにおける3つの重要なこと
1)改築に適する物件の選び方
改築から価値の上昇を狙う場合には、まず物件の構造が健全である事が最も重要です。例えば、築年数が古い物件では、地盤沈下がない事や躯体が変形していない事は最重要ポイントです。また、改築は既存の枠組みの中での仕事になるので、天井高や屋根の形などに対しては対応出来ないので(またそこまでする理由が存在しない為)、事前に確認しておく必要があります。
2)ターゲットを絞る
住宅の改築でもターゲットユーザー層を絞り込む必要があります。用途がいわゆる二世帯住宅なのか、若い世代の多数のテナント用の家なのかによっても、共有部のレイアウトや大きさは変化してきます。また複数のテナントの場合には、プライバシーを含め、複数の出入り口が必要になる可能性が高くなります。物件の所在地によってもターゲットが物件を選ぶのか、物件がターゲット層を選べるのかが変わってきますので、当初の購入エリアも重要なポイントになります。
3)多文化バンクーバーならではのレイアウト留意点
選択したターゲットテナント層により、室内のレイアウトも変化してきます。例えば、各階の利用者が異なったりする場合には、各階にお風呂場とキッチンが設置してあり、それらに対した配管工事を検討する必要も出てきます。また、バンクーバーだからこその要検討事項になりますが、各文化による家の使い方や必要設備も異なってきます。例えば、インド系の家族は家族の人数が一般的に多いため、寝室数を多めに設置し、リビングなどは最小限になっています。中国系の家ではキッチンが二つあったりします。一つは通常の台所で「お披露目用」です。実際の調理は壁を隔てた小さな部屋が用意され、そこで油を扱う(よって汚れやすい)ガスコンロを設置した台所が存在します。
この様に多文化環境だからこその要対応事項も増えてきます。現在のバンクーバーの住宅不動産事情は、「Missing Middle」と言われる大衆層への住宅供給をいかにして増やすかが目下の話題です。今後はこの現状と今後についてお話ししていきたいと思います。
KM Pacificグループ代表取締役社長
枡田 耕治
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