共同投資の際に頻繁に使われるパートナーシップ(組合)についてお話ししたいと思います。
※パートナーシップのシステムは国によって対処方法が異なります。

1)パートナーシップとは?

一般的なパートナーシップとは二人以上の投資家が株式会社を設立せずに個々の権利や義務を継続しながら共同で事業を行うものになります。また、経営(運営)権限によって責任も変わってくるのがパートナーシップの特徴です。通常はゼネラルパートナー(GP)リミテッドパートナー(LP)によって構成され、運営はGPの一任管理になっています。よって、組合投資はパッシブ投資が多く、日常の経営内容の把握が困難になるため、ファンド自体の当初計画や運営者のスキルレベルなどを見極めることが重要になります。また組合では、構造的な責任の所在が明確になっており、LPの責任は各投資額で制限されています。同時に組合参加契約書(Limited Partnership Subscription Agreement)は締結する事になりますが、監督官庁への提出義務はありません。

一任管理とは言いつつも、通常は各四半期終了後に財務諸表と運営レポートが送られてくるので、そこから組合の運営状況が把握出来るようになります。ただ注意事項としては、多くの場合は組合の運営中や終了後に監査報告書提出の義務付けはありません。複数の投資家が参加している場合には、過半数(もしくは一定数以上)の合意により監査遂行の選択肢があるというのが一般的です。この場合の監査も安くはないため、組合のサイズによっては投資期間が延長したり利益に影響してくる可能性もあります。不動産投資の場合には、この監査が物件レベルで行われるのか、それとも組合レベルで行われるのかによっても、価格が異なってきます。

経費に含まれるものとしては、プロジェクトの管理費関係です。不動産の場合には、年間管理費、開発管理費(Developer’s Fee: 開発物件の場合には)、購入手数料(Finder’s Fee: 仲介手数料とは違います)、融資調達費、売却手数料(仲介手数料とは違います)が主なものになりますが、これは各組合によって異なるので、これだけではありません。

また、収入や売却利益の分配についても収入ベースでの優先配当がLPに行なわれますが、それ以上の配当はInternal Rate of Return(IRR:内部収益率)によって配当段階(Waterfall)で決まっているのが主流です。一般的な優先配当は投資元本に対して一定率になっており、毎年の配当が想定されています。各段階配当(Waterfall)については、プロジェクトのリスクレベルや経済状況により異なり、IRRのX%からY%まではLP:GP=a:bの配当率で配当されるという仕組みが一般的です。

2)資本出資比率の方法

資本出資比率においてもいくつかの方法が存在します。
① GPとなる企業が同等もしくは過半数を出資する場合
② GPが最低金額を出す場合(通常は3〜10%)
③ GPは管理会社としてのみ参加し、資金参入はしない場合

これらの違いは、運営業者の目論みによって異なりますので、一概にどれが良いのかは言えません。ただ多くの場合が②を選択します。やはり事業者(GPを兼任する事業者)がなんのために投資家を募るのかと言うところがキーになります。多くの事業者は自己資金以上の事業拡張を目論んでいる場合が多く、最低限の自己資金から最大限の利益を得るGP+LP方式によって、GPのフィー収入とLPからの投資収益で事業拡張を可能にしようとします。③も共同事業経験がある投資家に対しては可能かもしれませんが、一般的な投資家にとっては事業者の参加がその組合の信頼性を謳っていると考え、事業者の資本不参加組合は危険性を警告しているものと思われます。

3)組合のメリット

組合の大きなメリットは、パートナーシップが独立した企業として認められていないため、組合からの収入や利益、及び経費や負債は全て組合参加者にパススルーされ、各自確定申告で納税金額と相殺する事が可能になります。ただこれらパススルーを日本などに所在する外国企業に当てはめる場合には、米(カナダ)国内で源泉徴収を支払い、各国の税務局の審査を受ける必要があります。この場合、最終的には10〜15%の支払いが求められ、審査が通るまで1年〜1年半ほどの期間を要します。全額の一時的差押えにはなりませんが、金銭が有効に使えないというデメリットが発生します。よって、一番有効的な対処方法は、現地国内で企業を設立し、そこから投資を行う事です。北米での企業設立は簡単で現地人材を必要としない上に、利益のオフセットが簡素化されます。また、企業サイズなどによっては特別控除が存在し、更なるメリットが存在するかもしれません。

同時に、組合の法的縛りは強く、証券法が関わってくるため、証券法専門の弁護士による契約書の作成(編集)が必要になります。証券法に順次した弁護士は弁護士業務内でも専門職になるため、その価格もまた桁外れに高額です。よって、有効な使い方だけでなく、組成する組合の規模も慎重に検討する必要があります。

4)投資組合参加可能者について

投資組合参加可能者についても投資家保護法によって多くの縛りが存在します。例えば、一般的な投資家募集に対しては、膨大なOffering Memorandum(投資目論見書)の作成と毎年の金融庁への報告が必要になりますが、適格投資家やその他の優遇組成条件を組み入れる事で、この作業を大幅に軽減する事が可能になります。

しかし、北米では日本のように適格投資家が一人組合に入っていれば、その特殊性が認められるという事はありません。よって、参加投資家全員が適格投資家である必要があり、人数を集める意味でも事業金額が大きくなると、ファンドレイズが困難になります。

一方で、北米不動産投資では組合は基本中の基本形態です。海外からの参加を検討する上でも簡易的で、配当なども上記項目を考慮すれば効率の良い魅力ある投資利益を得られることになります。弊社の組合でもIRRで10〜12%を平均ターゲットとしています。

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