今回は不動産とは直接関係ないのですが、弊社の「海外における資産運営」と「日本の国際的競争力の強化」という観点から、国債金利の「上昇」について気になった記事が出ていたので、それについてお話ししたいと思います。
1)個人国債の金利「0.1%」という数字について
某経済雑誌には個人国債の金利が0.1%まで上がり、「「インフレに強い」というのは本当か」についての議論がされていました。ここで明確にしておきたいのは、弊社のブログでは記事の著者に対しての抗議をする目的はない事、そして著者の記事の内容についてクレームをつけている訳ではない事です。
ただ我々がこの記事を取り上げた理由は、「0.1%」という数字があまりにも低すぎて話にならないという事です。日本がデフレ状態で成長性がないという現状は我々も理解しますが、国内の状況だけに満足しているようでは、投資というものは成功せず、その市場の魅力もないという事です。
2)外資から見た日本という市場の投資価値について
例えば、弊社のプロジェクトは年率8%を最低ターゲットにしており、改築では13〜15%を目標に取り組んでいます。ざっと見てもこれは130〜150倍と巨鉄も無い差です。また、北米でもインフレ懸念で金利は継続して上昇していく見通しです。商業不動産では年間賃料上昇率が5%以上(シアトルでは7〜9%)で上昇中です。米国で最も高いニュージャージー州の年間賃料上昇率は46%です。このような水準に対し、日本では「0」で始まる投資利益率が許容水準になる事に危機感と孤立を感じるべきです。
もちろん外資における日本国内投資は継続して進んでいますが、外資系投資家たちに聞いてみると、日本が目的で入っている人たちは少なく、「アジア」という括りで見た際、「日本も入れておくか」ぐらいの気持ちで参入しているとの事です。また、投資は地方ではなく、都内などの収益が「確定」できる物件のみに集中しているのが外国勢のリスクヘッジに重点を置いた戦略で、日本という市場が一括して安全で儲けられる市場と見ていないエビデンスだと思います。そしてこの流れはこの先も円安という「負のスパイラル(渦巻き)」により進むと思います。
余談ですが、北海道のリゾートや土地需要が進み、両手を上げて売却が進んでいますが、これも収益や土地に眠る資源を目的とした投資です。北海道の雪質は世界的に有名で、富裕層からの集客を見込んだビジネス投資です。また、北海道の水を含む「資源」は、海外では既に「水」が地球上で最も高額な資源として定義付けされている事を考えると、国策として所有権の確保(=資源の確保)を真剣に考えるべきだと思います。
3)まとめ
このブログでは上記に示した投資利益水準が問題なのではなく、「0.1%」で日本の金融投資が成り立っている事が危険すぎるという事です。日本は投資業界でも「孤島」として世界から取り残され、忘れかけられている、若しくは実務上の戦略的投資候補市場としては検討されていない事を、世界から日本に対しての警告と理解し、危機感を持った対応をするべきだと言うことです。デフレや「忘れられたXX年」と言う言葉が未だ残る中、水風呂に浸かっていても、湯を炊けば水がぬるま湯になり、いつかは熱湯になり、温度差を感じることが無いまま火傷死する事になります。世界から見た日本はもう既に相当熱風呂に入っていると見ています。
世界が繋がってしまい、全てが同時進行するのは金融や投資も同じです。この差に気がつくべきですし、「すごいね〜」と言う他人事に終わらない事が日本の唯一の生き残り策です。
封建社会の日本では与党国会議員などの日本の明日を判断する人間の所得や資産が一般人以上で生活面でも金銭的苦労を知らないと言うのが、一番大きなブレーキなのかもしれません。もちろんこれは日本だけでなく、政治は世界的に「特権事業」であることで問題になっています。でも現状維持では、その先も日本の孤島化は間逃れず、マージナル化(余計な存在)される事でしょう。
海外から自分の母国が疎外化されるのは非常に辛い現状です。50年後にも日本が存在し続ける事を祈ってこのブログを書きます。
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KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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